トマトの故郷 アンデス山脈
今や世界中で愛されるトマトですが、その起源は南米アンデス山脈の高地にありました。野生種から現代のトマトまで、壮大な旅の物語を辿ります。
📅 2025年11月26日

世界中で栽培され、愛されているトマト。その故郷は、南米アンデス山脈の標高2000〜3000メートルの高地にあります。現在のペルーやエクアドルあたりが、トマトの原産地とされています。
野生種から始まった物語
野生のトマトは、現代の栽培品種と比べるとずっと小さく、チェリートマトほどのサイズしかありませんでした。インカ文明の人々が、この小さな実を食用として利用し始めたのが、トマトと人類の関係の始まりです。彼らは長い年月をかけて、より大きく、より美味しいトマトへと改良していきました。
メキシコ経由でヨーロッパへ
アンデス山脈で生まれたトマトは、北上してメキシコに伝わり、アステカ文明でも栽培されるようになります。16世紀、スペイン人征服者たちがこのトマトをヨーロッパに持ち帰り、そこから世界中に広まっていきました。つまり、トマトは「アンデス → メキシコ → ヨーロッパ → 世界」という壮大な旅をしてきたのです。
今も残る野生種
興味深いことに、アンデス山脈には今でも野生種のトマトが自生しています。これらの野生種は、病害虫への耐性や環境適応力など、貴重な遺伝資源として品種改良に活用されています。現代の美味しいトマトも、その遺伝子の中に、アンデスの野生種のDNAを受け継いでいるのです。
標高3000メートルの厳しい環境で生き抜いてきた小さな実が、今では世界中の食卓を彩っている——なんとも壮大でロマンチックな物語ではありませんか。
📚 出典: トマトの大百科 (まるごと探究!世界の作物)


