日本の食卓を変えた「桃太郎トマト」
1985年に登場した「桃太郎トマト」は、日本のトマト史を塗り替えました。完熟しても日持ちする画期的な品種が、どのように日本人のトマトに対する印象を変えたのか。
📅 2025年11月26日

1985年、日本のトマト史を変える革命的な品種が誕生しました。それが「桃太郎トマト」です。タキイ種苗が開発したこの品種は、日本人のトマトに対する印象を根本から変えることになります。
革命的な特性
それまでの日本のトマトは、完熟すると皮が薄く柔らかくなり、輸送中に傷みやすいという問題を抱えていました。そのため、青いうちに収穫して輸送し、店頭で赤くなるのを待つ「青採り流通」が主流でした。しかし、桃太郎トマトは違いました。完熟しても果肉がしっかりしていて、輸送に耐えられる丈夫な皮を持っていたのです。
完熟の美味しさを食卓へ
この特性により、初めて「完熟トマト」を全国に届けることが可能になりました。太陽の光を浴びて真っ赤に熟したトマトは、青採りのものとは比べ物にならない甘さと旨味を持っています。桃太郎の登場により、日本人は初めて「本当に美味しいトマト」を日常的に食べられるようになったのです。
圧倒的なシェア
桃太郎トマトは瞬く間に日本中に広がり、現在では日本の大玉トマト市場の約70%を占めるまでになりました。「トマトといえば桃太郎」と言っても過言ではありません。この一つの品種が、日本人のトマトに対する評価を「青臭くて苦手」から「甘くて美味しい」へと変えたのです。
もし桃太郎トマトがなければ、日本人は今でもトマトを敬遠していたかもしれません。一つの品種改良が、国全体の食文化を変えた好例と言えるでしょう。
📚 出典: トマトの大百科 (まるごと探究!世界の作物)
